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地酒[後編]~幻の米「雄町米」~

地酒【後編】

岡山生まれで、4大酒米のひとつ。「幻の酒米」とも呼ばれる「雄町米」。

写真:伯耆大山伯耆大山

たった2本の稲穂から始まった、
酒米で最も古い品種「雄町米」の歴史。

酒米「雄町米」の歴史の幕開けは、江戸末期の安政6年(1859年)。備前国雄町村(現岡山市中区雄町)に住む篤農家・岸本甚造が、伯耆大山(鳥取県)に参拝した際、変わり種の稲に目を止めたのが発端です。
その時に持ち帰った2本の穂から育成されたことから、当初は「二本草」と名付けられていましたが、いつしか育成された地にちなみ「雄町米」と呼ばれるようになったといいます。

写真:雄町米の稲
写真:雄町米の稲のアップ

「幻の酒米」とも呼ばれる「雄町米」は、
全国生産量の9割以上が岡山県産。

昭和初期には全国の新酒が集まる「全国新酒鑑評会」では「雄町米でなければ金賞が取れない」と言われるまでになりました。しかし、稲の高さがほかより高くて倒れやすいなど栽培が難しいうえに、収量も低い「雄町米」は、第二次世界大戦を機に栽培が激減。大正期に約9000haだった作付面積が約3haとなった昭和後期には、「幻の酒米」とも呼ばれるように。

そんななか、岡山県内の酒蔵からの要望で、作付面積拡大の取り組みがスタートしました。農家の努力もあり、約500ha(平成26年度産推計)にまで回復した現在、岡山市や赤磐市、瀬戸内市などで栽培される岡山県産「雄町米」は、全国生産量の9割以上を占めています。

写真:酒造りの風景
写真:酒造りの風景
写真:酒造りの風景
写真:酒造りの風景
写真:酒のタンク
写真:升に注がれた酒

「蔵泣かせ」「杜氏泣かせ」の異名は
酒にする難しさから。それでもなお、
岡山には「雄町米」で醸す多様な地酒あり。

「芳醇でコクがある」「上品ですっきりとした飲み口」「幅のあるまろやかな旨み」…。
「雄町米」で醸された日本酒は、蔵ごと、銘柄ごとに個性的な味わいが用意されています。そんな懐の深さも、「蔵泣かせ」「杜氏泣かせ」といわれるほどに酒造りが難しいこの米が、酒造りの現場から求められる魅力のひとつ。

古くから酒どころとして知られる岡山県には約50の酒蔵があり、その多くが地元「雄町米」の酒を醸しています。全国に名を馳せる備中杜氏を中心に、但馬杜氏、南部杜氏、越後杜氏などの流れを汲む技で、それぞれに引き出した「雄町米」の滋味をご賞味ください。

取材協力:JA岡山東赤坂支店

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