モノを生み出す人々と現場

黄ニラ農家

伏見 正彦 さん

伏見 正彦
写真:旭川
写真:伏見正彦さん

肥沃な土と三大河川の伏流水が育む大地で
真摯に、真面目に黄ニラと向き合う。

三大河川のひとつ、旭川の近くに広がる岡山市北区牧石地区。砂壌土と呼ばれる水はけのよい大地と、水量豊かな旭川の伏流水に恵まれたこの地は、黄ニラの生産量全国一を誇る岡山県の中でも、その大半を担う黄ニラのふるさと。
ここで約20年前から、真摯に、真面目に黄ニラだけを作り続けているのが、黄ニラ部会部会長の伏見正彦さんです。

写真:収穫した黄ニラ

黄ニラは、もともとは青ニラ(緑のニラ)と同じ品種。太陽光を遮ることで光合成せず、黄色のままの葉が成長するのです。
「遮断するために欠かせないのが、これです」と見せてくれたのは、黒いビニールシート。シートを何枚も重ねることで、太陽光を遮断するのだといいます。
「光を通さないということは、熱も通さないということ。夏は熱がこもらないよう、冬は冷えすぎないよう、温度管理にはとても気を使います」と伏見さん。その日の天候や気温を見て調整を行う地道な努力が、黄ニラの美しい色と味を支えているのです。

写真:ニラ畑
写真:シートの中で栽培される黄ニラ

よい黄ニラを作るためには、
まず強い青ニラを作ることから。

「ここが、私の畑です」と案内してくれた場所には、黄ニラを栽培する黒いビニールトンネルと、その横には青ニラ畑が広がっています。
「黄ニラを育てるためには、まず強い青ニラを育てることが欠かせない」と伏見さん。その栽培方法は、種をまき、青ニラを発芽させ、晴れの国おかやまの太陽の光をいっぱいに受け、立派な青ニラの株を養成するところから始まります。その間、収穫は行わず、葉からの養分を「根」にしっかりと蓄えさせます。こうして育てた青ニラを刈り取り、黒いシートをかぶせ、2年目にしてようやく黄ニラとして生育していくのです。

写真:ニラ畑の遠景

「しっかり根を育てているので、太陽の光がなくとも、根の養分だけでちゃんと成長することができる」。
手間と時間をかけ、丹精を込めて育てた黄ニラだからこそ、青ニラとは異なる上品な香りと独特の旨み、シャキシャキとした小気味よい食感が広がるのです。

黄ニラとして収穫したあとは黒いシートを外し、青ニラとして生育。青い葉から根に栄養を蓄えさせ、再び黄ニラとなるための準備に入っていきます。

写真:作業する伏見さん
写真:ニラの花
写真:畑の土
写真:天日干しされる黄ニラ
写真:手にのせた小麦の粒
写真:社長の小田さん
写真:様々な種類の小麦粉

日も登らぬ早朝からの作業。
すべては「おいしい」の一言のために。

黄ニラの収穫は、まだ夜が明けきらぬ早朝から始まります。
「夏は日が明けるのが早いため、4時頃から畑に出ています」と伏見さん。やわらかく繊細な黄ニラは、機械での収穫が難しい品目。そのため、収穫はすべて手作業で行います。一株ずつ丁寧にカマでかっていき、傷がつかないよう注意を払い、慎重にゴムで止めていく。
「太陽に当たると光合成が始まるので、収穫は素早く、でも慎重に」と、なれた手つきで収穫を進めていきます。

収穫を終えたら、地元農家が使用する共同洗い場へ。旭川の地下水をくみ上げた水で、黄ニラについた泥をきれいに洗浄。ここでも傷がつかないよう、丁寧に、慎重に作業を進めます。再び畑に戻り、天日干しに取り掛かります。

写真:ニラ畑
写真:シートの中で栽培される黄ニラ

「日光に当てることで、黄ニラの色がより鮮明になるんです。曇りの日にすると、逆に緑の色素が増えてしまうからダメ」と話しながら黄ニラを見つめる表情は真剣そのもの。天日干しの時間は、日によってさまざまで、気候や温度を見計らって、干し時間を調整するのだといいます。
最後に葉先を切りそろえ、箱詰めを終えたら、ようやく出荷の時を迎えます。

「『岡山の黄ニラはおいしい!』と言われることが、何よりの励み」と語る伏見さん。その一言を聞くため、今日も日も登らぬ暗闇で一人畑に向かいます。

写真:伏見 正彦 さん

Profile

黄ニラ農家
黄ニラ部会部会長 伏見 正彦(ふしみ まさひこ)

昭和32(1957)年生まれ。代々、岡山市北区牧石地区で農家を営む。以前は様々な作物を栽培していたが、約20年前に黄ニラ一本に転向。平成24(2012)年には部会長に就任。若手就農者とも連携を取り、岡山の黄ニラ発信に貢献している。

黄ニラについて詳しく見る

TOP