モノを生み出す人々と現場

オーナー・パティシェ

渡邊わたなべ 和己かずみ さん

渡邊 和己
写真:ケーキハウス ローザンヌ
写真:渡邊和己さん

国内外での修業を経て、
自然豊かな地で創業。
目指すは、「体に優しいケーキ」。

江戸時代には旧山陽道の宿場町として栄え、今も往時の面影を色濃く残す建物が静かに佇む小田郡矢掛町。ここに、「純生はちみつロールケーキ」で全国的に名を知られる『ケーキハウス ローザンヌ』があります。
オーナーの渡邊和己さんは、この地で生まれ育ち、県外や国外でパティシエとして腕を磨きました。そして36年前、「自然に囲まれた地で作りたい」と帰郷し、当店をオープンしたのです。
「最初は田んぼの中に、ぽつんとここだけが建っていたんですよ」。
そう振り返る渡邊さんが、菓子職人となった当初から胸に秘めてきたのは、「体に優しいケーキを作りたい」という強い思いでした。

写真:店内風景
写真:作業風景
写真:養蜂園で作業する渡邊さん

純粋な生ハチミツを得るために、
養蜂園作りからスタート。

オープン当初は多彩なケーキや焼き菓子などを作る「町のケーキ屋」でした。しかし22年ほど前、もともと目指していた「体に優しいケーキ」を作るため「砂糖の代わりにハチミツを100%使ったケーキ」に挑戦し始めました。
「生地がとにかく難しかった。いったんは膨らむのですが、時間が経って冷えると、まるで煎餅のようになる。でも、研究するうちに生のハチミツが適していることが分かってきたんです。それに、生のハチミツは、加熱していない分、ビタミンも多いから体にいいんです」。

しかし、非加熱の生のハチミツは手に入りにくい上に、その価格は安くはありませんでした。そこで一念発起し、養蜂から手掛け始めたのです。幸いにも、矢掛は自然豊かな地。5年がかりで、巣箱を150にまで増やせました。

写真:巣箱のミツバチ
写真:巣箱にたまったハチミツ

「蜂が本来の姿を保てる環境を整えることで、本当のハチミツの味をわけていただけるのです」。
そう話す渡邊さんがハチミツを採取するのは、5~7月のみ。一斗缶(約25kg)で250缶、およそ6250kgをミツバチから「わけてもらう」のだそうです。

渡邊さんの自家養蜂園で採れるハチミツは、矢掛町に咲くさまざまな花から集められた「百花蜜」。
「ハチミツは年によっても、水分量や糖度が異なります」。
そう話す渡邊さんは、長年の経験でその違いを察知し、粉の配合や焼き時間などを調整して、理想の味わいを生み出しています。

写真:ケーキを作る渡邊さん
写真:焼き上がったケーキ生地
写真:ケーキ生地にクリームを塗る
写真:ロールケーキを切り分ける
写真:純生はちみつロールケーキと岡山みるくカステラ

小麦粉、卵、牛乳、ハチミツ。
岡山の素材にこだわりぬいたスウィーツも。

平成11(1999)年、渡邊さんは1本あたり300gもの生ハチミツを入れた、念願の「純生はちみつロールケーキ」を世に送り出しました。
「岡山県の矢掛町だったからこそ、このロールケーキは生まれ、私も店も成長することができました。だからこそ岡山県産の素材でおいしい菓子を作ることで、お返しがしたいのです」。

写真:ロールケーキとカステラのパッケージ
写真:ロールケーキとカステラを持つ渡邊さん

そう話す渡邊さんは、平成27(2015)年8月、岡山県内から厳選した素材で作る『岡山みるくカステラ』を新たに生み出しました。用いるのは、美星町の牛乳、鴨方町の卵、県内産の小麦粉、そして、自家養蜂園で採れるハチミツ…。渡邊さんは生産者の元に足を運んで、それぞれの生産現場を自らの目で確かめたそう。

「岡山にはよい食材がたくさんあります。その中から、カステラ作りに適したものを吟味するのに多くの時間をかけました」。
真剣そのものの表情で話す渡邊さんは、「岡山の名とそこで生み出される確かな素材を全国にアピールしたい」という思いを込め、今日もひとつひとつ大切に手作りしています。

写真:渡邊 和己 さん

Profile

オーナー・パティシェ
ケーキハウス ローザンヌ 渡邊 和己(わたなべ かずみ)

小田郡矢掛町生まれ。神戸、大阪、フランスで洋菓子作りを学んだ後に帰郷し、昭和57(1982)に当店を創業。1999年発売の「純生はちみつロールケーキ」は、数多くのメディアに取り上げられ、今や全国にその名を知られるまでに。

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