モノを生み出す人々と現場

ジェラート製造

山本 英伸 さん

山本 英伸
写真:ジェラート店『醍醐桜』
写真:山本英伸さん

「小さな時から身近な
酪農の風景を残したい」。
ペットトリマーから転身し、酪農家の道へ。

酪農が盛んに行われている岡山県は、種類豊富でおいしい果物も多く栽培されていることから、牛乳と果実の質と鮮度に味を左右されるジェラート作りに、もってこいの地。平成10(1998)年に岡山県内で初の酪農家が営むジェラート店が登場して以来、その数は増え続けています。

その一つ、真庭市内のジェラート店『醍醐桜』を平成20(2008)年に開いたのは、酪農家の3代目である山本英伸さん(以下「山本さん」)。山本さんは、高校卒業とともに故郷を離れ、大阪の専門学校を経てペットトリマーとして働き始めました。しかし数年後には故郷に戻り、家業を継ぐことに。決意の底には「小さな頃から目にしてきた、酪農という光景を残したい」との思いが募ったと言います。

写真:牧場のジャージー牛

希少なジャージー牛乳のジェラート。
試行錯誤で生み出した風味豊かな味で勝負。

生乳生産量年間94,038t(全国11位)の岡山県内には、乳用牛として馴染み深いホルスタインを中心に、様々な酪農家発のジェラートが点在しています。そのような中、山本さんが用いるのは、自社牧場で丹誠込めて育てるジャージー牛の生乳。ジャージー牛のミルクは乳脂肪分やタンパク質が多く、淡い金色を帯びた美しい色は「GOLDEN MILK」と讃えられています。
しかし、ジャージー牛は搾乳量が少ないことなどから、国内の乳用牛約140万頭に占めるその割合はわずか0.7%。頭数にして約1万頭という希少な牛です。その約25%を飼育する岡山県は、全国2位の飼育頭数を誇っています。
※平成26年牛乳乳製品統計

写真:ジャージー牛
写真:ジェラートに使用するジャージー牛乳

『醍醐桜』のジェラートは、自社牧場で飼育するジャージー牛35頭から搾乳した牛乳を利用しています。
「小さな牧場ですから、自分たちで人工授精し、生まれた仔牛はしっかりと運動をさせ、健康な牛に育てています」。

一年365日、休むことなく手塩にかけたジャージー牛の乳は、風味豊か。
「絞り立てを一回だけ煮沸して飲むのが一番おいしいんです」。
山本さんは試作を重ね、牛乳本来の風味を残すため、生乳に果実などを加えた後に、一度だけ低温殺菌するという方法にたどり着きました。こうして、その日搾った新鮮なジャージー牛乳ならではの濃厚なコクと、あっさりとした後口を楽しめるジェラートを完成させたのです。

写真:ピオーネ
写真:作州黒豆きな
写真:オレンジチェリー

目指すは、岡山ならではのジェラート。
地産食材を用いた多彩なフレイバーを創出。

「開業前に研修を受けたイタリアのジェラート店で、本場では牛乳そのものだけでなく、加える素材やフレイバーにもこだわっていることを知りました」。
そう話す山本さんは帰国後、地元大学の教授の協力で果実の加工技術を習得。そして、ジェラートに適した地元の果実を探索し、時には自分で育て入手した果実を、自ら加工し、生乳と果実との最適なバランスを研究する、その繰り返しの日々が帰国後から現在まで続いている、と言います。自家農園の「ピオーネ」、津山市の「イチゴ」、勝央町の「作州黒豆きなこ」、真庭市の「オレンジチェリー」…。

写真:ジェラートを作る山本さん
写真:様々な種類のジェラート
写真:店頭のジェラート
写真:コーンに盛りつけたジェラート
写真:店先に座る山本さん

「岡山には、地元に農業を残すため、一生懸命に新しい作物に取り組む人がいます。そうした食材のおいしさをジェラートを通じて知ってもらうことで、少しでも頑張る農家の応援ができれば」。

酪農と農業の将来への思いから、岡山ならではの新たなジェラート作りに今も挑戦しています。

写真:山本 英伸 さん

Profile

ジェラート製造
有限会社 醍醐桜 山本 英伸(やまもと ひでのぶ)

「酪農の風景を残したい」という思いから、ペットトリマーからジェラート職人へ転身。本場イタリアでの研修を経て、平成20(2008)年にジェラートショップ『醍醐桜』をオープン。父が育てるジャージー牛の牛乳と、地元・岡山で収穫される果物を使い、独自のジェラート作りに励む。

ジェラートについて詳しく見る

TOP